面識の無い相続人との遺産分割協議

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法律で定められた相続方法(法定相続)と異なる相続方法を選択するには、相続人全員の合意による遺産分割協議が必要となります。
「面識の無い相続人」が出てくるケースというのはあまり多くありませんが、次のような場合は注意が必要です。

数次相続や代襲相続があるケース

このケースでは、相続人の数が多くなる傾向があります。
例えば、祖父が死亡して、その後、父が死亡して、孫まで相続人になっている場合などです。
子沢山の場合には、孫の代まで行くとかなりの数の相続人になることがあります。

解決事例「相続人が22名!!祖父名義の土地の名義変更を放置していた件

昨今、親戚の関係性も希薄になりつつあるので、面識が無かったり、ほぼ面識の無い親戚というのも皆さんいるのではないでしょうか。

被相続人に離婚歴があるケース

被相続人に離婚歴があり、離婚前に子どもがいる場合は、その子も相続人となります。
再婚後の配偶者や子どもからすると、まず面識は無いでしょうし、あまり係わり合いたくない相手でしょう。
でも、離婚前の子どもも「被相続人の実子」には違いがありませんので、遺産相続をする権利があります。

被相続人に隠し子(認知子)がいたケース

これは戸籍を調査しなければ分からないケースですが、本当に稀ではありますが、実際あります。
婚姻関係にない相手との間に子どもが生まれて、その子を認知した場合はそのことが戸籍に記載されます。
逆に認知していなければ戸籍には載ってきません。
隠し子は、法律的には非嫡出子といいますが、非嫡出子も最近の判例によって嫡出子(婚姻関係にある夫婦の子ども)と同じだけの遺産相続権を持つことになっています。
上記の離婚前の子どもよりもっとお互い気まずい関係性となります。

面識の無い相続人がいることが分かったら

まずは連絡先を調べます。
心当たりのある親戚などに聞いて、住所や連絡先の電話番号を聞きましょう。
すんなり分かれば、電話して相続手続きの協力を仰ぎます。
ただ、上記の離婚前の子や隠し子相手だといきなり電話するのも気がひけると思います。
実際、いきなり電話しても相手も突然のことなのでどう対応していいのか分からないと思います。
こういった場合には「手紙」を送ることをお勧めします。

手紙の内容

手紙は、相手への気遣いが必要です。
いきなりケンカ腰だと進む話も進まなくなります。
まずは、突然手紙を送ったことへのお詫びと今回の相続の事実をなるべく分かり易く書きます。
その上でこちらの事情を説明して要望を伝えます。
また、資料として相続関係を説明した図や遺産の内容が分かるものも包み隠さず提供します。
変に隠したりすると、後々問題になりますので、「正直に」「素直に」伝えましょう。
こちらの連絡先も記載します。
相手方もどうような回答をすればいいのか分からないこともあるので、こちらから「回答案」をいくつか提供しておくとスムーズに連絡をもらえます。
例えば、
案1:無償で手続きに協力する。
案2:法定相続分相当の金銭を条件に手続きに協力する。
案3:手間に対する謝礼金を条件に手続きに協力する。
などです。

相手方から連絡が来たら

面識の無い相手方から連絡が来たら速やかに遺産分割協議の手続きを進めます。遺産分割の内容も相手方にしっかりと納得してもらったら遺産分割協議書を郵送などして、印鑑証明書を添えて返送してもらいます。
書面がしっかりと整えばあとはこちらで手続きを進めることが出来ます。
せっかく相手方が協力してくれたのに不備があった場合は、再度協力を得られるか分かりませんので遺産分割協議書は何度も確認しましょう。

まとめ

  • 数次相続、代襲相続、被相続人に離婚歴がある場合や隠し子がいる場合は面識の無い相続人との遺産分割協議をする可能性がある。
  • 面識の無い相続人へのコンタクトは慎重に行う。電話が難しければ手紙を送る。
  • 手紙の内容は、丁寧に事の経緯を分かり易く、包み隠さずに正確に伝える。
  • 手紙には相手の回答を得易いようにする工夫が必要。
  • 遺産分割協議書の内容は、やり直しが効かない事も考えられるので何度も確認して、不備無く、相手方にも内容をしっかり周知してもらう。

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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