相続法の改正と相続登記は至急やらなければいけない理由

相続登記は、登記しなければならないという決まりはなく、実はやってもやらなくても罰則のようなものはありません。

被相続人が亡くなってから十数年経って相続登記をしたいと相談にお見えになる方もいらっしゃいます。

確かに相続登記は“登記義務”はありませんが、放置していると大変なリスクがあります。

相続登記を放置するリスク

例えば、あまり知られていませんが、相続登記は相続人であれば相続人の内の一人が単独で法定相続分に限って登記申請することができます。

 

どういうことかと言うと、相続人が3名(仮にABCとします)いて、各相続人の相続分が3分の1ずつとします。

この場合、Aは一人でABCの各持分3分の1ずつの登記ができます。

BCの関与一切なしでです。

 

さらに、一旦相続登記してしまえば自分の持分であれば自由に処分できます。

Aが一人で勝手に相続登記したとしてもA自身の3分の1の持分は売却することもできるのです。

赤の他人と共有名義になるような持分を買う人がいるのかという疑問もあるかもしれませんが、最近は不動産の共有持分だけでも買い取ってくれる不動産業者もいます。

 

他にも相続人の内の一人が借金まみれでその相続人に対して債権を持っている人はその相続人の法定相続分の持分を差し押さえることもできます。

遺言があれば安心?

現在の法律では、遺言があれば勝手に売却されたり、持分を差し押さえられたりした場合にも売却先や差し押さえた債権者に対抗することができる場合があります。

 

例えば、遺言でBに不動産を相続させることになっているのに他の相続人であるAが自己の持分を売却してしまった場合でも、BAから不動産を買った相手方に対して不動産を返してもらうことができます。

 

前置きが長くなりましたが、ここまでが現在の法律での話しです。

遺言がある場合を除いて、放置しておくとかなりリスクが高いことがご理解いただけると思います。

 

ですが今後、2020年7月の相続法の改正によって、遺言があれば守られていた部分についても変更があります。

新法では・・・

 

改正民法899条の2 第1

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

条文を読んで分かれば、専門家はいりません。

かみ砕いて説明します。

 

前述のとおり、現行法では遺言があれば、本来不動産を相続していない相続人が自己の相続分に該当する持分を勝手に売却しても、遺言で財産を取得することになっていた相続人は売却先の相手方に対して、不動産を返してもらうことができました。

 

しかし、新法では、法定相続分を超える持分については登記しないその部分について返せと言えなくなります。

 

相続人が兄弟ABCで遺言でBが不動産を相続することになっている場合、Bは遺言に基づいて相続登記をしていなければ、相続登記の前にAが自己の法定相続分3分の1を売却してしまった場合については、Bの“法定相続分である3分の1を超える部分の売却”になるので、現行法と違って、売却先の相手方にAが勝手に売却した持分を返せと言えなくなるということです。

 

遺言があっても安心というわけではなくなったのですね。

 

これは、少し難しく言うと取引の安全、債権者の保護が理由とされています。

登記簿を信じて不動産を買ったら、遺言で別の相続人が不動産を取得することになっていて不動産売買が無効になったりすることが問題だったからですね。

 

あと、この改正で相続登記の促進も狙いです。

現在は相続登記が放置されていて今の所有者が不明になってしまっている土地や空き家問題が社会問題となっています。

 

現行の法律でも、相続登記を放置していると色々な問題やデメリットが沢山ありますし、新法に変わったら更に安心できなくなります。

相続登記に期限はありませんが、四十九日が終わったあたりで早めに相談されることをおすすめします。

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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