相続登記が義務化
そもそも相続登記ってしなければならないの?

※このコラムは動画でも解説しています。


相続登記が義務化されるように今後法律が改正されるようです。

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)名義の不動産を相続人名義に変更する手続きのことです。

従来は、相続登記はする義務はなく、放置していても罰則のようなものはありませんでした。

 

ですが近年、所有者が不明な土地の問題が非常に多く、その原因は相続登記を放置していることであると考えられます。

既に亡くなっている人の名義のままになっている間にその相続人の中でも更なる相続が発生して現在、いったい誰が相続人(所有者)なのかが分からない状態になってしまっています。

 

国としては、相続登記を放置することによる罰金等の罰則を科すことによって相続登記を放置して不動産の所有者が不明になる問題を解消しようと考えたわけです。

 

相続登記は司法書士の専門分野となります。

従来から司法書士としては、相続登記は登記する義務はないけどなるべく早くやって下さいとアナウンスはしていましたが、やらなければならないわけではないので、「でもそれって今やらなければいけないわけじゃないんでしょ?」と言われたり、そのまま放置されることが多いのが現状でした。

 

私としては、やっと義務化してくれたかという感覚です。

まだ法改正までには少し時間が掛かります、ですが、相続登記が義務化される前であっても早めに相続登記をして下さい。

これは、別に司法書士が相続登記の手続き報酬で儲けてやろうと思っているわけではなく、色々なリスクが想定されるからです。

数次相続のリスク

相続登記を放置していると、相続人の中でも亡くなる人が出てきて更なる相続が発生します。

これを数次相続と言いますが、数次相続が発生すると相続人間の関係性がどんどん薄まってきます。

 

例えば、すぐに手続きをすれば兄弟間で相続手続きや遺産分割協議をすればよかったのに、数次相続となると従兄弟同士や叔父と甥の間での話し合いが必要になったります。

 

疎遠な親族との協議では、なかなか話し合いがまとまらないことが多く、特に不動産といった簡単に割って分けれらるようなものではない場合は、売却して金銭で分割したり、一朝一夕には手続きが進まなくなってしまいます。

相続持分売却のリスク

あまり知られていませんが、相続登記は相続人の内の一人が法定相続分に限ってですが、相続人の共有名義に登記することができます。

 

例えば、被相続人父、相続人母、長男、次男とした場合に、長男が単独で、母4分の2、長男4分の1、次男4分の1の割合の共有名義に相続登記できてしまいます。

 

これは、自分自身の法定相続分を保全するために認められているのですが、仮に長男がこのように相続登記を行ったあとに、自身の共有持分だけを他人に売却してしまうと、母と次男はまったくの赤の他人と不動産を共有で持つことになってしまいます。

 

共有持分だけを売却できるのかと思うかもしれませんが、法律上は何の問題もありませんし、また実務上も共有持分だけを買い取るような不動産業者も存在します。

ですので、早く遺産分割協議をして、誰が不動産を取得するか決めた後にその内容で相続登記をしないと大変なことになってしまうことがあります。

 

相続持分差押えのリスク

相続持分の売却に似ているのですが、被相続人名義の不動産を債権者が差し押さえることができます。

差し押さえられるのは、相続人の中に借金をしているような人がいる場合です。

 

先ほどの例と同じように、被相続人父、相続人母、長男、次男とした場合に、次男が借金を抱えていてその返済が滞っているとします。

債権者としては、次男の何らかの財産を差し押さえて、債権の返済の原資に充てたいわけです。

 

そういった場合に、債権者が代位登記といって、相続人の代わりに母4分の2、長男4分の1、次男4分の1の割合の共有名義に相続登記できてしまいます。

そこで、この次男の持分4分の1を差し押さえてしまうのです。

 

差し押さえられた後に、遺産分割協議を行っても債権者には対抗できませんので、母がこの不動産を取得する内容で遺産分割協議をしたとしても次男の持分に関しては債権者に次男の代わりに返済するなどしなければ完全な所有権を取得することができなくなってしまいます。

 

書類の保管期限の問題

戸籍関係の書類は保管期限が長く、そう問題にはならないのですが、住民票や戸籍附票といった住所関係の書類の保管期限が5年と非常に短いのです。

 

被相続人が亡くなった後、5年以上経過しているような場合や、登記簿上の住所を変更せずに放置しているような場合に、相続登記に添付書類として必要な住所関係の書類が保管期限経過によって揃えられなくなってしまうケースが多々あります。

 

書類が取れなくなった後でも何とかやりようはあるのですが、やはり余計な手間がかかることが多いので、早めに手続きするに越したことはないでしょう。

 

ただ、この書類の保管期限の問題も今後保管期限を延長するような動きで進んでいるようですのでこちらはいずれ解消されると思います。

 

 

相続登記が義務化される前であっても、このように色々な問題が出てきます。

相続登記の義務化以降も上記のリスクは引き続きあるので、いずれにせよなるべく早く手続きを進めた方が良いでしょう。

 

今も今後も相続登記を放置していて良いことは一つもなく、いずれはやる必要がある手続きですので、四十九日の法要が終わったくらいのタイミングで一度ご相談にお越しいただければと思います。

 

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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