相続不動産の共有持分を売却されるリスク

※このコラムは動画でも解説しています。


相続登記が義務化される方向に進んでいるようで何よりなのですが、相続登記が義務化されるされない以前に私はとにかく早く済ましておいた方が良いとお客さまには申し上げています。
これはあるリスクの回避のためにもそのようにした方が良いからです。

想定されるリスク

相続登記を放置していて、特に面倒になりそうなのが、相続人の誰かが勝手に自分の持分を売却してしまう危険性があるというものです。
勝手に売却なんかできるの?と思われるかもしれませんが、結論から言うと勝手に売却することはできます

まず、大前提として被相続人名義の不動産を売却するには一旦相続人の名義にしなくてはなりません。
ですが、この一旦相続人の名義にするのは、相続人の内の一人からの申請ですることができるのです。

例えば、法定相続人がABCの場合に、Aが法定相続分どおりの割合で単独でABCの三者の名義にすることが認められているのです。
非常に違和感を感じる方が多いのですが、不動産登記法上OKなのです。

ただし、Aが単独で登記申請する場合は法定相続分どおりの場合に限られるので、流石にA単独名義や、Aが法定相続分より多い持分などの登記は認められません。

あくまで法定相続分どおりなので、誰も損はしないということなので相続人の一人が単独で相続人全員の為に登記することができるということになっています。

共有物分割の訴え

さて、感の良い方ならお気づきかもしれませんが、このように単独で相続登記をすることができるので、まず売却の前提としての相続登記に関しては他の相続人の関与なしにクリアすることができます。

ということは、あとは持分を買ってくれる人を見つければ、相続人の内の一人が持分売却を成立させることができてしまいます。

普通に考えると不動産の共有持分なんか買い取る人なんかいるのかと思うのですが、世の中には色々なビジネスをしている人がいまして、「不動産共有持分を買い取ります!」と大々的に謳っている不動産業者もいます。
当事務所にもDMがよく送られてきます。

こういった不動産業者は持分を買い取った後に、他の共有者に持分を売ってくれるよう話しを持ちかけます。
もちろん、普通の不動産ではなく、不動産の共有持分ですので相場よりは大分安くなると思います。
もし、不動産の売却に応じてくれなかった場合は、共有物分割の訴えを裁判所にします。

共有物分割の訴えは不動産共有者であれば誰でも認められている、不動産の共有状態を解消するための方法です。

不動産が共有状態のまま、何もできなくなっていると困ってしまうので、この状態を解消するために裁判所が合理的な判断をすることになります。

具体的に不動産の共有状態を解消するための方法としては、
1.現物分割
不動産を分筆して分ける方法です。
ただ、それなりの広さの土地でないと分けることができないですし、接道の問題などもあるので方法として選択されることは少ないでしょう。

2.価格賠償
共有者の内の誰かのものにして、他の共有者に金銭を対価として支払う方法です。

3.代金分割
不動産を売却して、売却代金を持分割合に従って分ける方法です。

以上のようなものがあります。

2または3が選択されることが多いと思いますが、3の場合は競売で売却してから金銭で分けますので、2で業者に買い取ってもらったほうが金額としては良い場合もあるでしょう。

いずれにせよ、不動産を共有状態にしてしまうと共有物分割の訴えを提起されてこのような上記1~3のような方法の選択を迫られてしまう可能性があります。
素人の方だと大変な思いをすることでしょう。

最後に

相続登記を放置していると、相続人の内の一人が自分の持ち分を勝手に処分してしまって、上記のような事態に陥ることが考えられます。
ですので、相続が発生したら、期限はないけれどなるべく早く不動産の相続登記をした方が良いのです。
他にも相続登記を放置することによる様々なリスクがありますので、早め早めの対応を心がけて下さい。
そして、お困りの場合はご相談下さい。
相続登記に付随する相続人調査、不動産調査、遺産分割協議など全てサポートさせていただきます!

 

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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