相続放棄の照会書と回答書の書き方

相続放棄の申述を管轄裁判所にした後、裁判所の混み具合等にもよるのですが、2週間ほど後に、相続放棄の照会書と回答書が送られてきます。
当事務所にご依頼いただいた方には、書き方が分からない場合は回答書をお送りいただき回答例を作成するなどサポートさせていただいているのですが、自分で手続きした方はどのように書いて良いか分からないと思いますので解説します。

相続放棄の照会書と回答書

まず、相続放棄の照会書には、ざっくり言いますと「相続放棄の申述がされたけど、あなた本当に相続放棄することについて納得していて間違いはないよね?回答書を一緒に送るから回答書に必要事項を記入して10日以内に返送して下さいな。」ということが書かれています。
また回答書ですが、これは各家庭裁判所によって書式は異なります。
ただ、答える内容についてはほとんど変わらないので、一般的に回答を求められる事とどのように記載するかの注意点をお伝えします。

相続放棄回答書の書き方

回答書は署名と捺印が求められますが、注意点として印鑑は相続放棄申述書に使用したものと同じ印鑑を使って下さい。
照会書にもそのように記載されていますので、きちんと読んで確認して下さい。
当事務所でご依頼いただいた方には申述書には実印を捺印してもらうようにしています。
三文判を使うと後でどの印鑑を使ったか忘れてしまうことがあるからです。
実印をお持ちで無い方は、きちんとどの印鑑を使ったか忘れないようにしておいて下さい。

では、具体的な回答書の書き方をご説明します。
回答書は裁判所によって質問事項が違いますので、一般的に聞かれることについてです。

1.あなたの名前で、相続放棄の申述行われていることを知っていますか

相続放棄は相続人に初めからならないとされる強力な効力があります。
ですので、万が一勝手に相続放棄の申述がされたら困りますよね。
ご自身で(又は司法書士に依頼して)相続放棄の申述をしたのであれば「知っている」旨を記載します。

2.あなたが被相続人の死亡を知った日はいつですか。

被相続人の死亡を知った日を記入します。
相続放棄は被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内にしなければなりません。
相続放棄の申述書にもこの日付は記載しているはずなので、同じ日を書いて下さい。

3.相続放棄の申立ては、あなた自身でしたものですか。

ここは自分でした場合は「自分でした」とし、誰か(司法書士等)に依頼した場合は、「司法書士佐伯知哉に依頼した」と記載して下さい。

4.相続放棄をする理由を記入してください。

相続放棄をしたい理由を記載します。
この項目も相続放棄の申述書にすでに記載していますが、改めて尋ねられます。
同じ内容を書けばいいのですが、回答例としては次のようなものがあります。

  • 被相続人から、生前贈与を受けているから
  • 現在の生活が安定しているから
  • 遺産が少ないから
  • 遺産を分散させたくないから
  • 債務超過(借金が多い状態)になっているから

などです。

5.あなたは、遺産の全部又は一部について、これまでに、処分、隠匿又は消費したことがありますか。

正直に答えなければなりませんが、ここを「ある」にしてしまうと相続放棄の申述は受理されません。
ですので、なければ「ない」と回答して下さい。

民法第921
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

6.あなたは、被相続人が死亡したり先順位の相続人の相続放棄が受理されたりした日から3か月以上経過して相続放棄の申述をしていますが、これまで相続放棄の申述をしなかった理由を具体的に書いてください。

被相続人の死亡後3ヶ月以上経過してから相続放棄の申述がされた場合はこのような質問事項が追加されることがあります。
あくまで相続放棄の申述は被相続人の死亡を知った日から3ヶ月なので、例えば被相続人と疎遠になっていて死亡を知ったのが死亡日から1ヶ月や2ヶ月経過していたこともあるでしょう。
そのような場合は、端的にそのまま書けば大丈夫です。
当事務所にご依頼いただいた場合は相続放棄の申述時になぜ3ヶ月以上経過した後の申述に至ったかの事情説明書を提出します。

最後に

相続放棄は一度申述に失敗すると、二度と出来なくなります。
もちろん、ウソをついて手続きを通してしまうことはいけませんが、特に被相続人の死亡後3ヶ月を経過した後の相続放棄はデリケートな手続きになります。
また、相続放棄は申述が受理されておしまいではなく、申述が受理された本人が相続人にならなくなれば、次順位の相続人へ相続権が移っていきます。
その為、他の人のことも考えて、場合によって全員で相続放棄の手続きを進める必要があります。
相続放棄の申述が出来る期限は定められているので、一度専門家に相談して下さい。

佐伯知哉(さえきともや)

司法書士さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。
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