地主、アパートオーナの為の民事信託

民事信託の活用法として特に有効なのが、地主やアパートなどの不動産賃貸業を行っている人です。
こういった方たちになぜ民事信託が適しているかを説明します。

将来の認知症対策

今の日本で認知症になる人の割合をご存知でしょうか?
内閣府によると平成37年(2025年)には65歳以上の認知症患者数が約700万人になり、これは65歳以上の高齢者の5人に1人の割合になります。
自分がまさか認知症になるなんて考えられないかもしれませんが、誰しもが20%の確率で認知症になるということはデータによって明らかです。

認知症になると程度にもよりますが、判断能力が低下していき、いずれ意思能力が無くなります。
判断能力や意思能力の低下がある場合には、契約を有効に行えなくなります。
契約の内容をきちんと把握していなければ相手側と内容の合意をすることができないからです。
赤ちゃんや小さい子どもがまともに契約をすることができないことと同じなのです。

つまり認知症になってしまうと自分自身で土地や建物の賃貸借契約や修繕などの必要が出たときの業者との請負契約、管理会社との管理委託契約を締結することができなくなります。

何も対策をしていなければ、認知症になってしまった場合は、成年後見制度の利用をしなければなりません。
ただし、成年後見制度の弱点として、後見人を選ぶのは裁判所、後見人には一定の報酬を支払わなければならない、後見人は財産の維持管理をすることはできるが運用をするこができないのです。
さらに、後見人は裁判所の監督下に置かれますので定期的に裁判所に後見事務の報告をしなければなりませんので、仮に親族が後見人となれた場合でもその負担は大きいのです。

地主の方で、更地をお持ちの場合に相続税が高くなるという理由で賃貸アパートの建築をするケースがよくありますが、新築の不動産建築は財産の維持管理とは言えないため成年後見制度では対応できないということになります。
事前の対策として任意後見制度もありますが、この場合は後見人は自分自身で選択できますが、後見監督人は付きますので裁判所の監督下にあることは変わりません。

相続対策

人間の寿命は有限ですので、いつかはこの世から去るときがきます。
相続が発生すると原則として法律で決まった相続分の割合で各相続人へ財産が承継されます。
相続人の間で遺産分割協議を行えば誰がどの財産を取得するかを決めることができますが、相続人全員の合意が必要になるので、一人でも反対の意見の人がいた場合は遺産分割協議はまとまりません。

相続対策として一般的なのは遺言です。
遺言は財産を誰に承継させるかを生前に決めておくことができます。
将来、不動産賃貸業を承継させたい相続人がいればその人に不動産を相続させるように指定しておけばいいのですが、遺言のデメリットとしては後で何度でも書き換えができてしまうため実際に承継する側の立場の相続人としては本当に自分が相続できるのか不安ですし、先ほどの認知症の話しとも関係しますが遺言を書こうと思った時点で認知症になっていると遺言を残しても無効になってしまう可能性があります。
更に遺言では本人亡き後に誰に相続させるかを決めることはできますが、その先、二次相続以降誰が相続していくかということを決めることはできません。

民事信託は認知症対策と相続対策を一本化できる

さて、そこで民事信託の登場です。
民事信託をうまく活用すれば認知症対策としての成年後見制度、相続対策としての遺言のカバーしきれない部分をうまく補完することができます。
先ほど挙げた、成年後見制度では資産運用をすることができないことに対しても民事信託の契約で受託者(財産を託す人)に資産運用の権限を与えておけば問題ありません。
また、遺言のように一次相続の際の相続人の他、二次相続以降の相続人を指定することもできますし、民事信託は遺言と違って契約(遺言は単独行為)ですので、本人一人が勝手に内容を変更することができないので相続人としても安心できます。
成年後見制度と遺言の2種類を使い分ける必要もなく、一本の契約でまとめられるのでそういった意味では分かりやすいとも言えます。

また、信託契約締結後には所有権が受託者に移転しますが、自分の目の黒いうちは自分でしっかり管理したいという場合でも、信託契約で指図権という権利を委託者(本人)に与えておけば認知症などで判断能力が低下するまでは委託者の監督下で財産管理を行うことができます。

信託契約の設計はかなり自由度が高いので複雑なものではあるのですが、きちんと専門家を関与させて作りこめばかなり使える制度です。
逆に素人が下手に手を出すと後でもっとややこしいことになりかねない危険もあります。

使いこなせば間違いなく便利なものではあるので、将来の認知症や相続対策を考えられている方は選択肢の一つとして検討してみて下さい。

この記事を書いた人佐伯知哉(さえきともや)司法書士紹介ページ

司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。

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