自分以外の他人の戸籍をとることが出来る場合

相続関係の手続きを行うにあたって、戸籍は必須です。
(※ここでの戸籍とは「戸籍謄抄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」など相続に使用する戸籍関係書類の総称のことです)
法定相続情報証明を戸籍等の代替書類として提出すれば大丈夫な役所や金融機関も多いですが、そもそもこの法定相続情報証明を取得するのに戸籍が必要ですので、やっぱり戸籍は取らなくてはなりません。

そこでよく質問されるのですが、「相続手続きで必要なのですが、自分以外の他人の戸籍を取ることは出来るのですか?」というものです。

委任状で取得する

まず戸籍はどこで取るかご存知でしょうか。
戸籍はその人の本籍地の市区町村役場で取得します。
町田市に本籍地がある人であれば、町田市役所や市役所の出張所で取ることが出来ます。
横浜市のような政令指定都市(市の中に区がある)であれば、本籍がある区の区役所や区役所の出張所で取ることが出来ます。

さて、他人の戸籍を取る場合の一番オーソドックスな方法は、本人から委任状を交付してもらって取得する方法です。
委任状の中身は戸籍取得に関して権限を与えられている旨が記載されていれば特に決まりはありません。
自作のもので結構です。
市区町村によって、ホームページに委任状の見本が掲載されていることもあるのでそれを使用すれば間違いはないでしょう。
委任状には本人の自署で署名及び捺印してもらいましょう。

委任状がない場合

委任状がない、もしくはもらえない事情がある場合はどうでしょう。
相続手続きの場合ですと、そもそも被相続人は死んでいるので、委任状を交付出来るわけはなく、誰かが代わりに取る必要があります。

また、相続人が疎遠であったり、仲が悪かったりして戸籍を用意するように頼んだり、委任状をもらって代わりに取得するようなことが出来ない場合もあります。
実は、他人の戸籍を委任状なしで取れる場合があります。

  • 配偶者
  • 直系尊属または直系卑属でかつ血族であるもの

が代表的なものです。

「配偶者」とは、夫から見た妻、妻から見た夫のことです。
「直系尊属でかつ血族であるもの」とは、子から見た親(養親は含むが、義親は含まない)や祖父母などのことです。
直系卑属とは、親から見た子(養子は含むが、子の配偶者は含まない)や孫などのことです。
上記の続柄であれば、自分以外の他人の戸籍を委任状が無くても何の理由も無しに取ることが出来ます。

でも、ちょっと待って下さい。
兄弟が含まれていませんよね。
相続が発生した時の一番多い相続人のパターンは「配偶者+子」です。
子が複数いる場合は子どうしは兄弟になりますよね。
被相続人の配偶者が動けばこの場合全員の戸籍を委任状無しに取ることが出来ますが、大抵相続発生時には配偶者たる妻または夫は高齢の場合が多いので、子が代表して戸籍収集等動くことになります。
そうすると、自分の兄弟の戸籍は委任状無しで取れないということになります。

ご安心下さい。
委任状無しで取れる例外がまだあります。それは・・・

  • 国や地方公共団体に提出する必要があるとき

ですので、不動産がある場合(法務局)、相続税の申告がある場合(税務署)、遺産分割調停(家庭裁判所)をする場合などはそれぞれの役所に対して戸籍を提出しなければならないので、こういった場合には関係者である相続人であれば他の相続人の戸籍を委任状無しに取ることが出来ます。
ただし、請求の際には使途だけ述べる必要があります。

他にも「権利を行使したり義務を履行するために必要なとき」にも委任状無しに他人の戸籍を取ることが出来る場合があるのですが、相続に関する手続きにおいては、影響が無い部分ですので割愛します。

司法書士による職権取得

最後に、国家資格者である司法書士による職権での戸籍の取得について説明します。
司法書士、弁護士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士は他人の戸籍を職権によって委任状無しに取ることが出来ます。
ただ、何の理由も無しに無断で他人の戸籍取ることは出来ません。
業務に関して依頼する権限のある依頼者からの依頼に基づいて、その業務に必要な範囲で取る場合に関してという制限が付きます。
ですので、単なる身辺調査や興味があるので調べたいなどといった理由で戸籍取得を頼まれてもお受けすることは出来ません。

司法書士の業務で具体的にどういったものが戸籍の職権取得が可能かというと、
「相続による不動産名義変更(相続登記)」「遺産全般の相続手続き(遺産整理業務)」「相続放棄や遺産分割調停の申出など」「法定相続情報証明の交付申出」などで、法務局や裁判所の手続きに関するものは全て含まれます。

司法書士にこれらの手続きを依頼すると業務遂行にあたって、職権で戸籍が取得出来ますので、ほぼ丸投げで手続きが進みます。
当事務所では、相続に関する書面も全てこちら作成しますので、ほぼ全ての相続関係手続きで印鑑証明書の取得以外は、書面に署名捺印していただくだけで手続きが完了出来るようなシステムにしています。

まとめ

  • 自分以外の他人の戸籍を取るには原則本人からの委任状が必要
  • 委任状がなくても「配偶者」「直系尊属または直系卑属でかつ血族であるもの」「国や地方公共団体に提出する必要があるとき」は他人の戸籍を取ることが出来る
  • 司法書士等の士業は、業務に関するものに限って職権で他人の戸籍を取ることが出来る

この記事を書いた人

佐伯知哉(さえきともや)

司法書士さえき事務所の代表司法書士。
主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行っております。今後はさらに遺産相続問題に先進的に取り組む事務所を目指しています。
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